とっとりで暮らす

東京から鳥取へ。佐治町という小さな町に引っ越した人のブログです。

山のうえのアスパラ

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" 山のうえのアスパラ " は鳥取県鳥取市南部の、佐治町 ( さじちょう ) の飯盛山 ( いいもりやま ) という山にある畑で育てています。佐治町は人口が2000人を切り、日本一人口の少ない鳥取県でも最も人口の少ない地域です。日本一星空が綺麗な場所とも言われる地域でもあります。

そんな佐治町に27年間生まれ育った東京から、2014年に妻と共に引っ越して来ました。現在は娘が産まれて3人暮らしです。

 

鍬や鎌すらまともに握ったことが無い、" 農業のいろは " など何も分からなかった僕ですが、たくさんの地元の方々の力添えを経て、ようやく自分の育てた作物を商品として世に出すことが出来たのが、この「山のうえのアスパラ」です。


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この飯森山は70年代に開発をされた梨の農業団地です。今では佐治町の梨の選果場は閉鎖をされて近辺の選果場と統合をしてしまったのですが、「佐治の梨」といえばとても評価が高く、今でも佐治の梨が欲しいと直接注文をされる方も多いと聞きます。

 

この飯盛山が開発をされた当時20,30代だった方々は、今でも現役で梨の栽培を行っています。しかし、どこの地域でも同じ様に後継者の不足や新規就農者は少なく、耕作放棄地が増えており、今後どうしていくのかが課題となっています。

そんな飯盛山の果樹園だった場所をお借りして、2015年よりこの地で耕作を始めました。畑の場所の標高は約400mで、気候としては東北に近い寒冷地寄りになります。

 

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初めてこの畑を紹介された時は、このような状態でした。

鉄製の梨棚や、ワイヤーなどが埋もれており、とても人力では再生をすることが困難な状況でありましたので、耕作放棄地再生事業を使わせて頂きました。

 

始めの年は白ネギに挑戦をしてみたのですが、収穫、調整、出荷の作業を考えると、現状の生活で人並みの生活が出来る収入を得るためには、自分ひとりではとても出来るようなものではないように思えました。

その際に栽培をした白ネギはインターネット上で募集をして、” ビギナーズねぎあげるキャンペーン " として、全国に飛び立って行きました。

 

 

他所から来た自分の様な人間が、農業で生活をして行く為には。考えた末に行き着いたのがアスパラでした。色々な種類の作物を栽培していくいうことも有りですが、農業で生計を立てる為には主要作物をひとつ決めておくことが懸命だと僕は考えます。当初は計画を立てて多品種に挑戦をしてみましたが、自分には合わなかったように思います。

 

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アスパラ栽培の最初の圃場造りは、溝を掘って堆肥を何トンも大量に投入したりと大変な作業ですが、一度作ってしまえば、トラクターを毎年入れる必要もないですし、きちんと管理をすればアスパラは10年以上株が継続する。収穫物に土が付かないうえに軽いので、収穫や出荷作業が他の野菜に比べて楽だというメリットがあります。何よりアスパラは美味しい特別感のある野菜です。

そして、アスパラがどう出来るかを多くの人が知らない。アスパラ農家というものは "ミステリアス & クール " で何だかかっこいいなと思ったのです。


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この畑を再生をするまではわからなかったのですが、土は真っ黒のいわゆる" 黒ボク土 "で何年も放置されたとは思えない、ふかふかの土でした。

聞いた話によると、ここを開拓する際に刈草などの有機物をたくさん投入して、積極的に土作りを行っていたようです。向かいの畑とも違う土です。そんな先輩方に感謝をしながら、この地でアスパラを作っています。

元果樹園ということもあり、畑には傾斜があり、朝夕はとても冷える。そして水を取ることが困難な場所、12月半ばから4月の始めまでは雪が積もり、畑に入ること が出来なくなります。色々な方から「そこは適さない。」「もっと下 ( しも ) でやったほうがええ。」とも言われることもありますが、こんなにも良い土、良い空気の場所。確かに収量は落ちるのかもしれませんが、第一に「美味しいもの を作っていく」という気持ちで頑張っていきます。

 
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栽培には有機肥料を主として、化成肥料も使います。10月まで収穫を続けるアスパラが疲れてしまわないように、即効性の栄養を与える為と考えています。

 

※ 肥料に関して詳細をまとめたページはこちら ※

農薬も使用をします。なるべく減らしていきたいのですが、病気が出てしまい治療をしないと株が死んでしまい、翌年から出て来なくなってしまいます。最悪の場合は病気が畑中に蔓延してしまう可能性もあります。

基本的に春芽には農薬を使用をしていません。春にアスパラが土から出だすと、どこからともなく食害をする天敵の虫 ( ジュウシホシクビナガハムシ ) が飛んできますが、毎日手で潰して卵を産ませない様にしています。もしも幼虫が大量発生してしまった際には、薬を散布します。散布をした翌日の収穫物は出荷を致しません。

 

※ 防除、使用資材についてのページはこちら ※

 

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採れたてのアスパラは、切り口から水がしたたる程ジューシーでとても美味しいです。初めて食べた時には感動を覚えました。それほどまでに鮮度が命の野菜でもあります。

そんなアスパラを食べて欲しいと思い、一番流通の早い直売所での販売を始めました。

 

直売所出荷の利点としては、「消費者の方にとってはスーパーで買うよりはお安く、より新鮮なものを手にして頂くことが出来る。かたや生産をする農家にとっては通常の出荷よりも手取りが多く、より美味しいものを食べて頂くことが出来る。」僕の様な小規模な農家を目指すものとしては、その様な関係性が理想なのかなとも思います。

 

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鮮度保持パックに入れて販売をしています。( 在庫切れの際には通常の袋でお出しすることもございますがご了承ください )

テープで巻くよりもコストと手間は掛かりますが裸の状態や、通常の袋よりもその名の通り鮮度を保つことが出来ます。お買い上げになられましたら、冷蔵庫に立てた状態で保存をしてください。

 

サイズによって入っている本数はまちまちですが、内容量はほぼ均一に揃えています。( たまに少し多めに入っているものもあります。) ラベルにも記載をしたのですが、細いものは味の濃さが際立ち、太いものはジューシーさが格別です。使用用途によって選んで頂ければと思います。

 

特に細いものは固くなりやすいので、一般の流通には乗りにくいのですが、実はとても使いやすく色々なものにお使い頂けます。軽く湯通しをして冷凍で保存をしておけば炒め物や煮物、お味噌汁なんかに入れても美味しいです。彩りも良くなりますし良く味も吸い、味の邪魔をしません。

我が家では、細かく切ってハンバーグ等に混ぜてなかなか野菜を食べない子どもに食べさせたりしています。

 

 

現在は下記の直売所へ出荷をさせて頂いております。日によっては入荷が無い日もございます。ご了承ください。値段は時期によって変動します。

 

パレットとっとり内 JAいなば農産物直売所「さんフレッシュいなば」

( 鳥取県鳥取市弥生町323-2 )

 

道の駅 清流茶屋かわはら内 JAいなば農産物直売所「アグリショップ夢菜館」

( 鳥取県鳥取市河原町高福837 )

 

地場産プラザ わったいな

( 鳥取県鳥取市賀露町西3丁目323 )

 

佐治町特産物直売所「かみんぐ百彩」

( 鳥取県鳥取市佐治町福園146-4 )