あっという間に春が来る。一番の楽しみにしていた、春風亭一之輔の独演会は中止となってしまった。
冬場は梨の先生についてまわり、梨の剪定と誘引を教わった。初めはついて見るばかり。
これは自分でやらんとわからん。わからんことがわからん。とりあえず、持っている知識で一本二本の樹に取りかかって見た。わからないことはその度に聞きながら。
剪定は不要な枝を切り払い、枝と枝が被らないように配置をする。満遍なく日光が当たるように。下から覗いてみる。綺麗な配置になっていると嬉しい。
誘引は、紐で棚に固定をしたり、伸ばしたい角度に枝を固定していく。樹は上へ上へ伸びようとする性質がある。まっすぐ太く、上にばかり伸びてしまうと、伸びることに栄養を使ってしまい葉っぱしか出ない芽「葉芽」ばかりになってしまう。良い芽の起きた、適切な太さの枝を引っ張って、45度くらいに誘引をすることで、樹を頑張らさせて枝に花芽を着けさせる。
実を採る枝、翌年以降のために育てる枝、今年だけで使い切る枝、採りながらも育てる枝。よく考えながら行う。考えすぎると作業が進まない。
品種によっても枝の使い方や、結果のさせ方が違う。アナログなプログラミングみたいだ。細かな樹の性質に対する知識はまだまだだけれども、わかって来ると面白い。
今後、花が咲いて、結果して、葉っぱが茂る。その姿を見ていったら、こういう風に切った枝はこんな風に伸びて成長するんだな、というのがわかって来るはず。楽しみだな。
樹を毎日見なさい。樹と仲良くなりなさい。と言われた所以がよくわかる。
剪定、誘引には剪定鋏と鋸をつけたバッグを腰に着けて、糸玉にした誘引紐を入れたリュックを背負って行う。リュックの肩ベルトにホースの切れ端を付けて紐を出しやすくする。これがあるだけで作業のスピードが全然違う。すごいアイデアだ。
皆、ビンテージになった格好良いリュックを背負っているので、僕も高校生の時に購入したノースフェイスを育てていくことにした。
仕上がった園を確認しながら何度も周る。なんて綺麗なんだろうと惚れ惚れする。