とっとりで暮らす

東京から鳥取へ。佐治町という小さな町に引っ越した人のブログです。

大雪を抜け出し帰省をした

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とんでもない量の雪が降った。家の前は埋もれてしまい、人ひとり分が通れる道を作るのが精一杯だった。「昔は1m越えの雪は度々あったけれど、今回の様な雪は異常だ」と皆が言う。二輪駆動の乗用車のタイヤがきゅるきゅると鳴りながら進めない場面を見た。「乗用車なら二駆でも大丈夫」という人もいるけれど、あそこまで降ると二輪駆動の乗用車よりも、四輪駆動の軽自動車のほうが断然強い。普段の燃費は悪いけれど、四駆でないと駄目だというのはこういうことかと思い知った。
 
二日間続いた大雪の翌日から、東京の実家に帰省をした。雪の影響ではなくて前々から決めていて、年末年始は集落の事があるのでようやくの正月休みといった感じ。ご近所さんも手伝ってくれて、前日までに降り積もった雪をなんとか搔き出しておいたけれど、出発の日の朝方に降られていたら行く事が難しかったかもしれない。
 
道路状況が分からなかったので、かなりの余裕を持って家を出る。集落の坂を抜けて、国道に入ると道はガッタガタでまともに走れる様な状況ではなかった。常に傾いて走り、がったんがったんと。もはや滑る恐怖よりも、横転しないかの恐怖。途中でトラックが雪に嵌っていてしばらく立ち往生をしたが、消防署の前だったので隊員さんたちの迅速な救助のおかげで、余裕で飛行機に間に合う時間に空港に着いた。
空港の駐車場は除雪が間に合わなかったのか、スコップを持って行かなければ車を止めなれないくらいの状況だった。
 
東京では上野動物園や、すみだ水族館に娘を連れていった。動物園では、今までしまじろうの体験版DVDでしか見た事がなかったゾウに「どぅっさんどぅっさん!」と言って嬉しそうだった。鳥取ではゾウもキリンもペンギンも見る事が出来ないから、見せてあげる事が出来て良かった。すみだ水族館では蜷川実花さんプロデュースのクラゲの展示が開催されていた。とても綺麗で良かったのだが、何より驚いたのが、携帯のカメラでも綺麗に移る様な造りになっていたということ。これがいわゆる” インスタ映え ”するということか。写真撮影も自由にやらせて拡散をしてもらう。なんでもかんでも規制を掛けるよりも、理にかなったイマドキな方法だと思った。
入館料は高いけれど、綺麗で見やすくて臭くない。水槽の中の水草にも手が込んでいておしゃれ。この値段でも仕方ないと思わせる場所だった。
 
地元は東京の東側。実家を離れて8年位になるけれど、人口が急激に増えているような気がした。大型のショッピングモールがいくつも建設されて、下水処理施設のあった「便所村」と呼ばれていた場所にはマンションが乱立している。地元にカルディやラッシュが出来たと聞いた時には、なんてことだ、信じられない、、!と驚かされたもの。新築のマンションにはプチセレブみたいなファミリー層が増えて、ギャーギャー騒ぎ回る子ども達で飲食店は混沌としていた。あれだけお店があっても既にキャパシティを越えて来ているのかもしれない。
もともと” 下町 ”と言われる地域だけれども、その面影はどんどんどんどん減って行って、開発の手が緩やかな世田谷や杉並の方が下町の様な情緒があるようにも思える。
僕が中高生の頃は地元で手に入らないものを求めて、新宿、渋谷、高円寺、下北沢なんかへ背伸びをして遠征をしていた。今や、地元で手に入らないものはほとんど無くて、それが良い事なのか悪い事なのかは分からないけれど、ちょっぴり寂しい気もする。東京の中でも地方都市化が進んでいる。
 
普段は出来ない事。文化的( ? ) なことでもしようと、母からもらった映画鑑賞券で「沈黙」を鑑賞。その前に馬力でホルモン刺しと55ホッピーをチャージする。錦糸町の楽天地。近くにTOHOシネマズが出来てからは、若い人はほとんどそこに行くのではないだろうか。いつもこの映画館が継続をしていることに驚かされる。しかし、年配の方はこちらの方がわかりやすいし安心をするのかもしれない。最近は名画座的な上映もしているみたいだ。昔に父と兄とで映画を観に行ったことを思い出す、薄暗くて古めかしい映画館。帰り道にブックオフで本を購入。坂口恭平さんの「幸福な絶望」と友人にあげた岩波書店版の「君たちはどう生きるか」を買い直す。
 
幸福な絶望

幸福な絶望

 
君たちはどう生きるか (岩波文庫)

君たちはどう生きるか (岩波文庫)

 

地方の車移動に慣れてしまうと、都会の電車移動が億劫になることがあるけれど、移動中に本を読む時間が作れる事は良いなと思った。

 
鳥取に帰る前日には高円寺に寄って、円盤でジョンのサン「二人の先輩とポリバケツのための小品」、ASUNA「100 keybords」、娘が使うかもとコルゲンの可愛いコップを購入。高円寺こちらに来る前に働いていた街だけれども、ぶらぶらする気力も無く、駅前広場でハーモニカを吹いているヤバそうなおっさんを見ながら、発泡酒を飲んでそそくさと去ってしまった。
その後、新宿へ。紀伊国屋書店で農業本を購入して、ビール、サワー100円( 週末は180円 )の居酒屋で音楽友達と酒を飲む。久しぶりの再開だけれども、本当にどうでも良い話で笑える友人がいることは嬉しいことだ。
 
ないものはない晴れ渡った春の様な陽気の東京から、あるものしかないどんよりした冬の空の鳥取に帰ってくると、同じく国とは思えなくて、なんだか不思議な気持ちになった。

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実家には猫がいた。非常におとなしくて「にゃー」とも鳴かない。娘が興味津々で追っかけ回しては逃げるばかりだった。翌日には少し慣れたのか身体を撫でさせてくれた。
猫がいるだけで家族の雰囲気が良くなっているような気がした。( 悪かったわけではないけれど )