とっとりで暮らす

東京から鳥取へ。佐治町という小さな町に引っ越した人のブログです。

メルカリでお米を売ってみた

昨年栽培をして収穫をしたお米「きぬむすめ」をフリマアプリのメルカリで販売をしてみた。今年の自家消費分を残して完売をすることが出来た。

お米を販売するのも、メルカリを使うのも初めてだったので、諸々をここで自分なりにまとめて見ることにした。

 

▪️ そもそもなぜメルカリで販売をしようと考えたのか。

農産物のインターネット販売は、作物にもよるけれど少々ハードルが高い面がある。

多くの農産物販売サイトは「こだわり」というものを押し出して販売をし、名前や顔を前面に出して販売をすることもある。
それはもちろん良いことでもある。けれどもその様な「こだわり!」を推したお米を購入し、白い未成熟米やカメムシに吸われたヤケ米が入っていたらクレームにつながる可能性も否めない。慣行栽培よりも使用している農薬は少ないけれども、それを理由にはしたくない。


スーパーで売っているお米は色彩選別機という、うん百万もする高価な機械を通して、未成熟米やヤケ米を取り除く。大量に不特定多数の人に販売をする訳だから、それはリスク回避でもあるし、「流通に乗せる」ということであれば当然のことなのかも知れない。

 

個人でも大農家であれば導入をしているけれども、僕のような小規模農家には手が出るものではなし、もちろん僕らが普段食べているお米は、そんな機械を通していない。それでも、主観的に美味しいなぁと思えるお米だ。


流通させる商品としては未完成なものを、サイトに「こだわりのお米!」で載せるのも少々気がひける(もちろんこだわっていないわけでもないけれど )。でも美味しいなぁと思えるお米。家族だけでは消費しきれないし、売れれば嬉しい。加えて個人配送だと、昨今の流れで配送量が馬鹿にならない。そこで配送料が全国一律のメルカリはどうだろうか?と思いついた。

 

 

▪️ メルカリで農産物販売

メルカリで「お米」を検索してみると、驚くほどたくさんの商品が出て来た。自然栽培と謳ったものから、単一品種米( "本物のコシヒカリ"というモヤっとした文言もよくある )、国内産ブレンド、古米、屑米まで。こんなにも多種が入り混じったマーケットは面白いなと思った。その中からお客さんは欲しいものを選び購入する。「欲しい人がいれば売れる」。これはある意味健全でもあるような気がした。

 

お米の他にもフリマアプリでは様々な農産物が販売されていることがわかった。楽天が運営しているラクマでは農産物の取引額が、前年比の約6倍だという。覗いてみたら、ラクマは農業女子PJなどとコラボしたり、「顔の見える生産者ウリ」な傾向があるなぁと思った。

 

考えてみたら、車社会ではない場所で、お米を購入して持って帰るのは大変だ。子連れとかであればなおさら。5kg、10kgするものを宅配便で届けてくれるのであれば利用する方は多いよなと納得。生鮮野菜と違って輸送中に腐ってしまうリスクがあるでもないので、送る方としても安心である。

 

メルカリも匿名でやっているし、とりあえずFacebookで友人の友人までの公開にして、投稿をしてみたところ、「メルカリで米を売る」ということに関して、なかなかの反響がみられた。まだ一般的には知られていないのかもしれないけれども、今後増えて行きそうな気がする。

商品への直接リンクは載せずに、画像を載せて「きぬむすめ」って検索してね。とだけ記載したけれども、何人かの同級生が購入をしてくれた。ありがとう!

 

▪️ どの様な見せ方 ( 売り方 )にするか

そんなこんなの多種が入り混じった中でも、売る方が「どのような方に届いて欲しいか」、「逆にどのような方を寄せ付けないようにするか」ということを意識して、文章やプロフィール、写真、サムネイルを考えて作れば、届いて欲しいところに届けることも出来るのではないだろうかと考えた。


「スーパーで買うお米よりも、ほんの少し(数百円)高いけれども、美味しいお米が食べたい人。多少の未成熟米やヤケ米は気にしない。」

 

という届いて欲しいざっくりとした層を決めた。

販売価格は1kg 300円の計算に送料を加えたくらいの値段設定にした。( 後から箱代忘れてる〜と気がついたけれども、、値上げはしなかった。 ) 10kgに関しては「新米」の表示が出来なくなる年明けから80円値下げした。商品の顔となるサムネイル画像はしっかりと作り込んで、圃場の風景、商品写真はメルカリっぽさを出す様な写真を選択した。

 

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商品説明には

 

「自家用にもしているので、未成熟米や虫喰い米も混じっています。気になさる方はご購入をお控えください。」

 

という様な文言を記載して販売を行なった。大きなクレームみたいなものはなかった。( これはプロフィールにも記載しておくべき! )

 

使用をしている農薬や肥料などは説明には記載せずに、質問があれば詳しく答える様にした。実際の使用量としては特栽の基準を満たしていても、認証を取得しているわけではないから、表示は致しませんという旨もお伝えした。


出品初日から注文が入った。圧倒的な閲覧者の数はすごい。中には短い期間に、何度もリピートしてくれる方や、美味しいです!とコメントをくださる方もいた。綺麗な農作物だけが出回りがちだから、こんなことでも消費者との相互理解に繋がれば良いな。

 

品種が「きぬむすめ」であることも結果的に良かった。「コシヒカリ」だと膨大な出品数で埋もれてしまう可能性がある。ピンポイントで「きぬむすめ」を探しておられる方がちょくちょくいらしたのは意外であったし、鳥取県民としても嬉しかった。

 

消費者が普段買っている値段にちょい足しで、普段よりもぐんと美味しいものが食べられる。直売に近い形で農家の手取りが少しでも良くなる。それが一番良いよな。世の中の賃金が上がれば良いな。手数料や箱代を考えたら、もう少し値上げしないといけないとも感じたけれど。

 

▪️ メルカリの取引の流れ

購「買いました!」

販「ありがとうございます!いついつ送ります!」

購「よろしくお願いします!」

販「送りました!しばらくお待ちください!」

購「受け取りました!ありがとうございました!」

販「こちらこそありがとうございました!」

 

といった感じなのだけれども、この距離感がなんだか丁度良い感じがする。

お互いにそんな感じだし、もし気に入ってもらい何度か購入をしてくれた方に、「どこのお米ですか?HPとかあります?」とか聞かれたら教えれば良い。

 

お米を袋に入れる際には、完全には取りきれないけれども黒い米粒やヒエなどの種のチェック、袋にはラベルを貼り、パソコンで作った簡単なメッセージカードと同封した。雨の日などの発送には、ヤマトさんに持ち込みプチプチを撒いてもらった。

最低限でも出来ることはやったつもり。少しでも気持ちが伝われば良いなと思いながら。

 

 ▪️ 販売を終えて

そんなこんなで年明けには販売を終了。こまごまと連絡を取ったり、発送に出る時間とかを考えたら農閑期の仕事だなぁと思った。けれども、この時期の収入になることはとてもとても大きい。春作の資金の足しにすることが出来た。

感触的に3月くらいまで販売が出来れば良いなぁとも思ったので ( 収入としてもお米が美味しく食べられる時期としても )、今年は新たな田んぼをお借りして生産量を増やしていくことにした。もちろん品種はきぬむすめ。

 

匿名配送ではありますが、ご購入を頂いた皆様にお礼申し上げます。ありがとうございました。